アグリテック主催・食育推進活動「食発ひがしかわ」を通して
2005年 11月 15日
本日2005年11月15日、21:15~、なんと旭川の「旭山動物園」がNHKの番組「プロジェクトX」になって放映される。一時は廃園の危機に陥った旭山動物園。ところが、今では全国一の入園者数を誇るまでの有名な動物園になった。何がそうさせたのか。パンダのような珍しい動物がいるわけでもない。確かに日本最北の動物園でもあるが、それだけでここまで有名になる要素は少ない。まぁ、今さら言うまでもなく、みなさんご存知のように動物園の見せ方に答えがあった。いわゆるこれまでの姿、形を見せる「形態展示」ではなく「鳥は、空を飛んでこそ鳥だ(小菅園長)」と、鳥が自由に飛ぶ能力や自然の鳥の姿を観察できるように園内に大きな鳥カゴをつくって人間がその中に入っていく「行動展示」重視の施設をつくったのは今から8年前の1997年9月。動物園の運命をかけた「行動展示」がスタートした元年。それからの軌跡はいうまでもない。「動物本来の姿や動き、当たり前の自然の姿を伝えたい」という小菅園長の熱い思いがそこにある。
●食卓と畑が遠い
動物園の話が長くなったが、普段の当たり前のもの・・・、これは、動物だけでなく、われわれの生活の中にもあてはまることがある。中でも毎日欠かせない「食」の分野に関しては顕著だ。
近年、遺伝子組み換えやBSE、鳥インフルエンザなどの食の問題が叫ばれている中、今まで当たり前のように地元の野菜を工夫して保存、料理して家族の食卓へ出すということができにくくなってきた。統計から見れば北海道は農業王国と言われ、自給率も180%あるが、その土地でとれたものは殆ど地場には流れない。すぐ隣の畑で栽培されているものが、違う場所で消費されているというおかしな食の流れがある。その殆どは札幌をはじめ、大都市を経由し首都圏方面に流れているのである。
旭山動物園から車で10分。ここ、東川町は道内屈指のお米の産地で農業の町である。しかし、この一見豊かな農村部においても、このような食の流れがあるのは否めない。
●第1回食発ひがしかわから得られたおかあさんの知恵や技
そんな中、地域の食をもう一度見直し、食卓と畑の距離を縮め、これまで培ってきた「食の知恵や技」から地域の食文化という宝の掘り起こしをしてみたらどうだろうと思い立った。地域のもつ魅力を再発見できないか。地元のおかあさん方に呼びかけて、特に東北各地で行われている「食の祭典」を参考に、東川町の普段の食卓を一同に集め「食」からいろんな思いを「発」っしていこうと、「食発ひがしかわ」というイベントをアグリテック主催で開催する運びとなった。
第1回は、2004年の4月。北海道の長い冬も終わりかけのこの時期、もちろん旬の野菜は殆どない。なぜこの時期だったのか。 イベント開催を思い立ったのが2月。オイラが担当だったのが間違いだった。オイラはどちらかというとすぐ行動してしまうタイプのようで、やるならすぐやってみたいと企画して動き出してみたら食材の少ない4月開催になってしまったという裏話がある。
イベントの趣旨を説明しながら、地域の農家のおかあさん方をはじめ、商工会のおかあさん方に「普段の家庭料理を一同に集めたイベントを開催したい!」と出品依頼にまわったが、この時期食材が何もないのは当然だし、「普段の料理?恥ずかしくて出せるわけないでしょ」と門前払いさせられたおかあさん方も少なくない。まぁ無理もない。
しかしなんとか、40名のおかあさん方が協力してくださり、なんと約70品もの料理が会場に並んだ。ニンジンやダイコンなど、今採れたような食材の料理もあったが、それらにはなんと雪国ならでは雪中保存という知恵があった。なんにもないどころか、地元の食材を使った料理が殆どで、会場に集まったみなさんも驚いていた。食材が何もないと思っていた4月に開催したことは結果的におかあさん方や地域のもつ「食」のパワーを見せ付けられたことになった。
※この続きは、アグリテックHP「食発ひがしかわ」でまとめてあります。持ち寄られた料理も写真で公開しています。
●当たり前の凄さ
地域活性化やまちづくりの席では必ず「なんにもない」という言葉が社交辞令のようにいつも飛び交う。しかし、自分の暮らしている足元をのぞくと、普段の当たり前の暮らしの中に素晴らしい何かがある。旭山動物園も、飼育係りでしかわからない動物の本来の姿を、「行動展示」という手法で、動物本来の当たり前の姿を見せ、多くの来園者を迎えている。動物園再興のキーワードは「当たり前」の本来の姿だった。動物園もそうだが、「食」においても、それ以外においても、これまで培ってきた普段の当たり前の知恵や技を、ほんものの新しい地域資源に変えて、より豊かな地域として次世代に引き継いでいけるような活動をしていきたい。
このカテゴリーでは、そんな地域の食の達人たちを紹介していきます。
●食卓と畑が遠い
動物園の話が長くなったが、普段の当たり前のもの・・・、これは、動物だけでなく、われわれの生活の中にもあてはまることがある。中でも毎日欠かせない「食」の分野に関しては顕著だ。
近年、遺伝子組み換えやBSE、鳥インフルエンザなどの食の問題が叫ばれている中、今まで当たり前のように地元の野菜を工夫して保存、料理して家族の食卓へ出すということができにくくなってきた。統計から見れば北海道は農業王国と言われ、自給率も180%あるが、その土地でとれたものは殆ど地場には流れない。すぐ隣の畑で栽培されているものが、違う場所で消費されているというおかしな食の流れがある。その殆どは札幌をはじめ、大都市を経由し首都圏方面に流れているのである。
旭山動物園から車で10分。ここ、東川町は道内屈指のお米の産地で農業の町である。しかし、この一見豊かな農村部においても、このような食の流れがあるのは否めない。
●第1回食発ひがしかわから得られたおかあさんの知恵や技
そんな中、地域の食をもう一度見直し、食卓と畑の距離を縮め、これまで培ってきた「食の知恵や技」から地域の食文化という宝の掘り起こしをしてみたらどうだろうと思い立った。地域のもつ魅力を再発見できないか。地元のおかあさん方に呼びかけて、特に東北各地で行われている「食の祭典」を参考に、東川町の普段の食卓を一同に集め「食」からいろんな思いを「発」っしていこうと、「食発ひがしかわ」というイベントをアグリテック主催で開催する運びとなった。
第1回は、2004年の4月。北海道の長い冬も終わりかけのこの時期、もちろん旬の野菜は殆どない。なぜこの時期だったのか。 イベント開催を思い立ったのが2月。オイラが担当だったのが間違いだった。オイラはどちらかというとすぐ行動してしまうタイプのようで、やるならすぐやってみたいと企画して動き出してみたら食材の少ない4月開催になってしまったという裏話がある。
イベントの趣旨を説明しながら、地域の農家のおかあさん方をはじめ、商工会のおかあさん方に「普段の家庭料理を一同に集めたイベントを開催したい!」と出品依頼にまわったが、この時期食材が何もないのは当然だし、「普段の料理?恥ずかしくて出せるわけないでしょ」と門前払いさせられたおかあさん方も少なくない。まぁ無理もない。
しかしなんとか、40名のおかあさん方が協力してくださり、なんと約70品もの料理が会場に並んだ。ニンジンやダイコンなど、今採れたような食材の料理もあったが、それらにはなんと雪国ならでは雪中保存という知恵があった。なんにもないどころか、地元の食材を使った料理が殆どで、会場に集まったみなさんも驚いていた。食材が何もないと思っていた4月に開催したことは結果的におかあさん方や地域のもつ「食」のパワーを見せ付けられたことになった。
※この続きは、アグリテックHP「食発ひがしかわ」でまとめてあります。持ち寄られた料理も写真で公開しています。
●当たり前の凄さ
地域活性化やまちづくりの席では必ず「なんにもない」という言葉が社交辞令のようにいつも飛び交う。しかし、自分の暮らしている足元をのぞくと、普段の当たり前の暮らしの中に素晴らしい何かがある。旭山動物園も、飼育係りでしかわからない動物の本来の姿を、「行動展示」という手法で、動物本来の当たり前の姿を見せ、多くの来園者を迎えている。動物園再興のキーワードは「当たり前」の本来の姿だった。動物園もそうだが、「食」においても、それ以外においても、これまで培ってきた普段の当たり前の知恵や技を、ほんものの新しい地域資源に変えて、より豊かな地域として次世代に引き継いでいけるような活動をしていきたい。
このカテゴリーでは、そんな地域の食の達人たちを紹介していきます。
by agtec
| 2005-11-15 20:23
| ●食育・食農教育コラム