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自分の心の火が揺らついているとそれを整え直すのに「他」の「火」にあたりにいきたくなるもの。民俗学では「旅」を「他火」と書くそうだ。そんな「他」の「火」にあたりながら考察する「夢多(ムダ)」の多い日誌。


by agtec
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クラフト街道(東川町キトウシ地区)

いよいよ山間部だけではなく平地にも雪が積もってきた。まだ降っては溶けて、溶けては降っての繰り返しだが、この11月中旬の天候は怖い。昨日は暖かかったなぁと思うと、今日は白銀の世界。 そんなこんなで雪が積もっていくわけだが、ブラックアイスバーンという路面凍結の恐怖もいつおとづれてもおかしくない時期。というわけで、この週末はスタッドレスタイヤに履き替える光景があちこちでみかけられた。そういうオイラも日曜日に履き替えた。タイヤ交換は北海道の風物詩のひとつといっても過言ではないと思う。

●クラフト街道クラフト街道(東川町キトウシ地区)_a0064927_1929859.jpg
さて、ブログを発信している場所東川町。会社の事務所もこの町にあるのだが、東川町は実はアーティストの町でもある。町内には多くの写真家や陶芸、家具、クラフト作家が在住し創作活動を展開している。中でも「岐登牛(キトウシ)」地区は多様な作家さんが集中しており、写真のように「クラフト街道」と呼ばれている。その殆どは、創作活動だけでなくアトリエと併設してギャラリーを構えており、愛好家や旅行者が気軽に立ち寄れるようになっている。
 クラフト街道には、木工クラフトの「鈴木工房」や、陶芸の「理想夢工房」、おそらく道内唯一の木象嵌作家であろう「相和工房」。街道をさらに奥に進めば、廃校を利用した「北の住まい設計社」の家具工房がある。これらの各工房やギャラリーについては、この「地域の他火人(創作編)」カテゴリー内にて追って詳しく紹介していきますのでよろしくお願いします。

●オーダーメイドの創作活動
 そもそもなんでこんなに多くのアーティストがこの東川町を拠点に活動を行っているのか。東川町はもともと豊かな森林資源を背景に発展してきた旭川家具の一翼を担う家具・木工の町でもあり、町内には昔から家具メーカーや個人事業者も多くいた。しかし、バブル崩壊の大打撃の影響もあったが、それぞれ積み上げてきた職人の高い技術と、北海道の開拓の精神を背景に今もなお、数は減ったものの家具・工芸の町として健在である。
 そんな各メーカーで共通するのはオーダーの対応。オイラが携わっている体験旅行もそうだけど、われわれ消費する側が個人志向の目的重視に変わってきたこと。つまりオーダーメイドの「only-One」を求めている。それにあわせてメーカーも個人向けの対応を惜しまずやってきた。同じ家具でも全く違う、自分だけの家具。求めるものが多様化すれば、メーカーも多様化する。いつしか、さまざまな作家のいる町として知らず注目も浴びるようになった。また、点在しているメーカーは大きな会社もあるが、殆どが個人事業主が多い。自分のやれる範囲で仕事をしている。生き残っていくには、大量販売大量生産ではなく、少量多品目を実現しているのである。

●移住者
 それぞれの作家さんたちの中に共通点をもうひとつあげるとすれば、町外や道外からの移住者による作家が多いということ。後に紹介していくが、隣旭川市から東川町に移住して活動を行っている方や、関東から移住してこられた方もいる。車で30分のお隣の旭川市出身の作家さんに聞くところによると、「大雪山麓に位置する東川町は、豊かな自然も多く、創作活動に没頭できる」地域なんだとか。確かにアトリエは森に囲まれ、鳥のさえずりはもちろんエゾリスなんかも顔を出し、何かに集中するには適している。作品にもその豊かな自然をモチーフにしたデザインやアイディアも盛り込まれ温かみのある作品が多い。

 クラフト街道をはじめ北海道は、これから厳しい冬を迎えるが、それぞれの作家さんたちが手がける作品は暖炉の火のような温かみが伝わってくる。
 
 次回は、クラフト街道にあるギャラリーのひとつ、陶芸の「理想夢(りぞうむ)工房」をご紹介します。
by agtec | 2005-11-14 21:12 | ●体験観光レポート