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自分の心の火が揺らついているとそれを整え直すのに「他」の「火」にあたりにいきたくなるもの。民俗学では「旅」を「他火」と書くそうだ。そんな「他」の「火」にあたりながら考察する「夢多(ムダ)」の多い日誌。


by agtec
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教育、どこ行く、明日行く?

 先日の新聞の一面に『「徳育」正式教科に』という見出しが出ていた。政府が教育改革であーだこーだ言っている「教育再生会議」で検討されていることで、阿部さんも出席した総会でも一致し、5月に予定している報告会で提言する方針を固めたという。現に存在する道徳教科の格上げのようで、阿部さんの掲げる「いじめ問題」や「犯罪の低年齢化」「社会的モラルの低下」を踏まえ「国と郷土を愛する態度」が盛り込まれた改正教育基本法の下での「規範意識の向上」としての目玉対策だともいう。しかも、これまでの道徳は学習指導要領で定める「教科」では教科としての成績判定がなく、将来的には「徳育」も成績判定されることになるらしい。う~ん・・・、何を評価するのだろうと首を傾げてしまう。確かに価値観の押し付けとか、評価によって思想的に右に傾くというような懸念の声もあるようだが。
 さて、日本の教育における教育体系の基礎となっているのはイギリス発祥の三育主義だそうで、教育の基礎は「Mental Training」「Religious Training」「Physical Training」の3つに分類されているようだ。それがそれぞれ「Intellectual Education」(知的教育)「Moral Education」(道徳教育)「Physical Education」(身体教育)と教育的に改良され、ご存知日本語で「知育」「徳育」「体育」と訳され現在に至っている。「知育」は国語、算数、理科、社会・・、「体育」はあの運動する授業の「体育」、そして「徳育」は言葉通り「徳育」。その「徳育」を日本特有?の「成績判定」にするという危なげな(というふうにオイラは見てしまうが)教科になろうとしているというのだ。そうなった場合、近くこの「徳育」という教科の名の授業を受けた生徒たちが社会人になったとき「オレさ~、音楽と徳育の成績1でさぁ~、得意じゃなかったんだよねぇ~。だからこんなダラダラしてんだぁ~」みたいな会話も出てくるかもしれない。規範を教えるどころか、逆に得意、不得意の教科的ものさしにしか見えなくなってしまうんじゃないかなってね(ん?最近は5段階評価もなくなったんだっけか?)。
教育、どこ行く、明日行く?_a0064927_30214.jpg
 そういえばこの三育のほかにもうひとつ「食育」というコトバまで出てきた。2005年に「食育基本法」が制定されたことはみなさんもご存知だろう。食べること、強いては食べて生きること、つまり生命の大切さまで総合的に盛り込んだ「食育」ではあるが、「食」に関するあらゆることまで学校で教えなければならない時代なのかと思ったりもした。近頃では「大人のための食育」なんてキャッチもあるが、成人しても尚「食育」的な講座や教室がおおはやりだという。その昔は、経験や体験、そして親をはじめじーちゃんやばーちゃんたち家族の中で、さらに近所の年配の方々との井戸端会議の中で、知らず知らずのうちに味覚や旨み、調理や加工の知恵など、アウトドアなんて横文字の枠にはめられなくとも、遊びの中などでなんとなく五感で感じながら身体に刷り込まれてきたものだと、田舎育ちのオイラなんかは思っちゃうんだけどさ、核家族化や、近所づきあいなどコミュニティの希薄化による個主義になって、目に見えないそのへんに行き交ってきた社会の中の教育がなくなってきた現代だからこそ出来た基礎教育なのだろうかね。
 道徳の授業も、小中では義務教育の中で習った覚えはあるが、机上の教えというのは結構退屈な授業だったことを覚えている。むしろ、自分で言うのもなんだが、結構やんちゃな遊びやいい意味での悪友も多かったので、近くのおっちゃんに怒られたり、子供社会での上下関係の中で目上に対する敬いの礼儀作法?を教わったり、そんな中でのほうがオイラの中ではある意味「道徳」だったような気もするね。評価するのは世間の目だったりして、強いて言えばそれが教科ではないけど世間による成績判定だったりしてね。いやはや、規範にしても、食べることにしても、変な意味、人間が人間らしく生きていく基礎的な部分を、国が旗振りまでしておせっかいをかけなきゃいけない時代なんだねぇ・・・と、ちょっとオジさんの愚痴っぽくなった「校区コミュニティ的コラム」でした。
by agtec | 2007-04-04 03:10 | ●まちづくり関係コラム